今回はリアホイールの脱着について。
フロントホイールの脱着とタイヤ交換はこちらでご紹介しています。
リアホイールの脱着は少し難しいので、ご自身で作業される場合は必ず一度目を通してから作業を始めてくださいね。
また、無理をせず、難しいと感じたら近くの自転車店に依頼してください。
必要な工具は六角レンチ(4mm or 3mm)、トルクレンチ、ドライバー、古布、車体保護用のダンボールもしくは丈夫な布等です。タイヤ交換をする場合、他にタイヤレバーも必要になります。
内装3段ギアの車体を例にあげますが、シングルスピード、内装5段も基本的には同じです。
内装5段は大きく異なる部分もあるので、そちらもご説明します。
1.ギアを3速に入れる(内装5段の場合は5速に)
3速/5速に入れることで、シフトワイヤーが緩みます。
シフトワイヤーにテンションがかかっていると、この後の作業が思うように進みません。
シングルの場合は3へ進んでください。内装3段の場合は2へ進みます。内装5段の場合は1-2へ進んでください。
1-2.(内装5段ギア)ホイール固定ナットを緩める
左右のナットを緩めます。画像は内装3段のものですが、紛失しないようにしてくださいね。
1-3.(内装5段ギア)チェーンテンションボルトを緩める
内装5段の場合のみ、先にチェーンテンションボルトを緩めます。(画像は内装3段ですが同じです)
回し続けるとそのまま抜けてしまいますが、今回はこのボルトを交換したい訳ではないので、抜かなくて大丈夫です。1-4へ進んでください。
1-4.(内装5段)リアホイールをいっぱいまで前に出す
いっぱいまで前に出すことで、シフトワイヤーを外しやすくなります。このまま1-5へ進んでください。
1-5.(内装5段ギア)シフトワイヤーを外す
内装5段の場合のみ、ちょっと大変です。
変速レバーを操作した時に動く部分をグイッと車体後方に向かって回して支えます。
そのまま反対の手でワイヤーの余りを掴み、ワイヤーを車体後方に向かって回すようにするとワイヤーが外れます。
外す事が出来たら3へ進んでください。
2.(内装3段ギア)ギアシャフトを外す
ねじ込まれている部品を写真のように外します。
※サビついて動かせない、という場合、浸透潤滑剤をスプレーして30分〜1時間程度置くと、動かしやすくなります。
3.(共通)車体を整備台に乗せる、もしくはひっくり返す
整備用のスタンドがない場合はひっくり返します。
工場には組み立て・整備用のスタンドがありますが、今回はそれを使わずにやっていきます。
地面に直接置くと、ハンドルやサドルに傷が入ってしまうので、必ず養生しましょう。
内装5段の場合は既にナットが緩んでいるので注意してください。
仮止め程度に締め直してからひっくり返すのがオススメです。
4.(内装3段ギア)ギアカバーを外す
内装5段ギア、シングルスピードの場合はここは飛ばします。
傷が入らないよう、布等を当てて、ギアカバーとフレームの間にドライバーを押し込み、ギアカバーを外します。
ギアカバーを外したら、ホイール固定ナットの中心に刺さっているシャフトも外します。
シャフトは手でクルクルと回して外します。
5.(シングル、内装3段)ホイール固定ナットを緩める
左右のナットを緩めます。シングルスピードも同様です。
紛失しないようにしてくださいね。内装5段は既に緩めてありますよね?
6.(シングル、内装3段)チェーンテンションボルトを緩める
チェーンテンションボルトを緩めます。
回し続けるとそのまま抜けてしまいますが、今回はこのボルトを交換したい訳ではないので、抜かなくて大丈夫です。
7.(共通)リアホイールをいっぱいまで前に出す
いっぱいまで前に出すことで、チェーンが外せるようになります。
内装5段の場合も、念のために確認しましょう。
8.(共通)チェーンを落とす
ここまで来れば、ホイールはもう外せます。
ホイールを後方に引っ張ってください。
タイヤ交換をする場合、交換手順はフロントホイールと同じなのでこちらを確認してくださいね。
それでは続いて、ホイールを車体に取り付ける場合です。
基本的には逆の手順をやるだけですが、作業のポイントも解説していきます。
1.(共通)クランク側のチェーンを落とす
クランク側のチェーンも落としちゃいます。ホイールを戻すのが楽になりますよ。
2.(共通)チェーンをリアホイールにかける
リアホイールにチェーンを引っ掛けておきます。
3.(共通)ホイールを車体に戻す
チェーンは引っ掛けたまま、です。リアホイールはいっぱいまで前に出しておきましょう。
4.(共通)チェーンをかける
前後ともにチェーンをかけます。内装5段ギアの場合は4-2へ進み、シングル、内装3段の場合は5へ進んでください。
4-2.(内装5段ギア)シフトワイヤーを戻す
ホイール取り外しの時とやり方は一緒です。ワイヤーを通す溝があるので、そこを這わせるように通し、最後にワイヤーを元の場所に引っ掛けます。
5.(共通)車体右側のチェーンテンションボルトを締め込む
ここは重要なところです。車体の右側とは、乗車時に右側。つまり、チェーンのある側のテンションボルトを締め込んでください。
チェーンのテンションはピンと張らず、かと言ってゆるゆる過ぎず。
指で押して少したわむぐらいが目安です。
6.(共通)車体左側のテンションボルトを締め込み、ホイールの向きを調整する
チェーンのない側も締め込んでいきます。ここが1番難しいところです。
写真のように、傷がついていると思うので、そこを目安に。
微調整して行くので、まだ完璧に位置を合わせなくてOKですよ。
作業者の視点です。画像の右が車体の左側となります。
車体をひっくり返しているので、左右が反転します。
タイヤが斜めになっているので、車体左側(画像の右手が写っている側)のテンションボルトで調整します。
この画像で言うと、タイヤは車体の右に向いていることになるので、車体左側のテンションボルトを締め込みます。(タイヤが左に向いている時は緩めてくださいね)
この時、一気に締め込まず、1/8回転〜1/4回転ずつ締めていきます。(慣れてくると一気に回せますが……!)
締め込んでまっすぐになった状態です。
違う角度からも画像を用意してみました。
まだちょっと曲がってますね。
より正確にしたいところですが、一旦先へ進みます。
7.(共通)車体を起こし、ナットを締め込む
車体を戻し、ホイール固定ナットを締め込みます。
締め付けトルクは24N/mですが、まだ本締めせず、軽く締め込みます。
固定ナットを締め込むことで、フレームがわずかに動きます。
この時に、リアホイールの向きも変わってしまうので、もう一度調整します。
車体の真後ろに立ち、シートチューブ(フレームのサドルが刺さっている延長線)の左右がタイヤよりはみ出しが多い場合は次のように調整します。
・真後ろから見てフレーム左側が多く見えている(ホイールが右を向いている)場合、右のテンションボルトを緩める
・真後ろから見てフレーム右側が多く見えている(ホイールが左を向いている)場合、右のテンションボルトを締める
ホイールがまっすぐになっていたら、固定ナットを締め込みます。
しかし、まだ油断しないでくださいね。空いている方の手でタイヤを抑えて本締めをしてください。
また、シングル、内装5段は多少強めに締めてしまっても大丈夫ですが、内装3段ギアのナットは厚みが薄い分、締め付け時に割れてしまう事があるので、締め付けトルク24N/mは守るようにしてください。
トルクレンチを初めて扱う方にちょっとウンチクを。トルクレンチがプレセット型の場合、規定値まで締め込むと「カチッ」と音がしますが、2回、3回と鳴らさないでくださいね。ざっくりご説明すると、締め付けトルクが指定した数値に達した時に音が鳴る仕組みとなっていますが、1度鳴った後にもう1回鳴らすと少し意味合いが変わってきます。
1回目は「24N/mで締めました」という合図で、2回目は「24N/mで締めた後、24N/mで締めました」という意味になります。つまり、24N/mより強く締め込んでいる、ということになります。
大事なところなのでちょっと長くなりましたが、本筋に戻りましょう。
チェーンのテンションがギチギチではない、ということは、リアホイールが動く余地があるという事なので、本締めの時に動く可能性があります。
締め込みが終わったら、もう一度タイヤの向きをチェックしましょう。
傾いていたら、少し固定ナットを緩めて調整します。
問題なければ最後にチェーンテンションボルトが進まなくなるところまで締め込まれているか確認してください。
シングルの場合は終わりですが、内装5段の場合は7-2へ、内装3段の場合は8へ進みましょう!
7-2.(内装5段ギア)シフトワイヤーを調整する
ギアを2速に入れ、画像の黄色い線が一直線に並ぶように調整します。
シフトレバーにダイヤルが付いているので、左右に回して調整します。
ダイヤルを回すとシフトレバーの位置が動く事が多いので、必ず2速の位置にちゃんと入っている事を確認してから、黄色の線を確認してください。
8.(内装3段)変速用パーツを組み付ける
シャフトをリアホイール右側のナットの中に入れ、時計回りに回します。
軽く押しながら止まるまで回して行き、ネジが止まったら1周程度緩めます。
9.(内装3段)ギアカバーを取り付ける
ギアカバーは外す時と違い、はめるだけです。
注意点としては、チェーンテンションボルトとほぼ水平にすること。
少し斜めでもOKという意味で、水平でももちろんOKです。
10.(内装3段)シャフトとワイヤーを繋ぐ
画像右側のワイヤー側の部品をシャフトにねじ込みます。
ワイヤーを変速レバーが引っ張る事で1速、2速に入るようになっています。
そのため、1速に入るところまでねじ込みます。
ねじ込み過ぎると反対に3速に入らなくなってしまうので、1速と3速に入るか確認しながら調整してください。
ねじ込む時は3速に入れるとスムーズです。
シャフトについている丸い部品はローレットナットという工具を使わずに締めたり緩めたりするナットです。これをワイヤー側の部品に向かって緩めて行きます。
ワイヤー側の部品に当たるまで緩めたら、そのままワイヤー側の部品を手で抑え、ローレットナットをしっかり締め込みます。(工具は使いませんよ!)
お疲れ様でした。これで完成です。
慣れてしまえばリアホイールの脱着は調整も含めて10分もあれば出来ちゃいますが、それまではなかなか上手くいかない事も多いと思います。
繰り返しとなってしまいますが、難しそうと思ったら無理をせず、自転車店にご依頼ください。