プロのクリエイターが自転車をおしゃれにするならこうなった
今回はファッションデザイナーの計良氏、プロダクト&グラフィックデザイナーの黒野氏に自転車デザインについてお伺いさせて頂きました。
本日は取材にご協力頂きましてありがとうございます。お二人ともそれぞれ非常にクリエイティブな仕事をされていますが、簡単にお仕事内容をお教え頂けますか?
計良 : Tokyo Collectionブランド、ヤングカジュアルファッションブランドでデザイナーを行う傍ら、自身でも日本の最高級テキスタイルを用いたTH_READ(スレッド)というハイエンドメンズブランドを運営しています。国内では10年ほどデザイナーとして活動しています。
黒野 : グラフィック、プロダクト、Webの領域で分野を問わずアートディレクションからデザインまでを行っています。自分でプロデュースしたものでは地元特産(愛知県西尾産)を活かした抹茶ブランド TheThé(テテ)の運営や、架空のホテル THE HOTEL LINKSにてクリエイターの輪を広げる活動を行っています。
お二人とも時期は違いますがパリに住んでいたと伺いました。フランスと日本で自転車文化の違いというものは何かありますか?
計良 : 僕は2002年〜2006年の間パリに居ましたが、フランスはツールドフランスが有名なのもあって、ロードバイクが非常に多かった記憶があります。現地のバーなどでも、日本で言うところのサッカー観戦のようなノリで自転車レースを見ていました。フランスの地方に行くとどこに行ってもロードバイクは非常に多かった記憶があります。特に南仏が多かったですね。
黒野 : 私は2006年から2年間ほどパリに居ましたが、当時はピストブームの絶頂期で、シングルスピードの自転車を見ることが多かったですね。あとはX GAMEのような山中ダウンヒルを競うものも多かったですね。街中の自転車を比べると、意外かと思われるかも知れませんが、パリよりも東京で走っている自転車の方がおしゃれなイメージありますね。
計良 : 確かに、フランス人はそこまで自転車の見た目にこだわっている感じはありませんでしたね。
黒野 : 最近ではフランスもレンタサイクルが増えているようなので、ここ数年でパリの自転車もロードバイク寄りから街乗りに変わってきているのかも知れません。
なるほど、フランスでも自転車が街乗り寄りになってきているのですね。
今回お二人には事前に Cocci Pedaleをデザインして頂きました。簡単にこのデザインにした理由をお聞かせ願えますか?
(左 : 計良氏デザイン、右 : 黒野氏デザイン、画像クリックでカスタムできます)
計良 : 僕は白い自転車がずっと欲しかったんですよね。昔ニースの美術館で見た作品で自転車に真っ白なペイントをした作品があったんです。とても印象的で自転車を買うなら真っ白なものが欲しいと思っていました。ただ全て真っ白だと少し遊び心が足りない感じがしたので、パールグレイやシャンパーニュカラーを取り入れてみました。
黒野 : 私の場合はCocci Pedaleの塗装を見て、とても印象的な塗装なのでクラシカルな見た目の中にも塗装が活きるように意識してみました。昔ロードバイクをピストに組み替えて乗っていたことがあるんですが、今回は街乗りを意識してワイドアップハンドルを選んでみました。
実際にデザインしてみて、どう思われましたか?
黒野 : デザイン、とても面白かったですね!
計良 : そうそう、携帯でも横画面でできるのでいいですよね。あと横と斜め両方から見えるのが良いですね。カラーサンプルも見やすくて良かったと思います。
黒野 : 画像の切り替えも早くてサクサク動くのも良いですね。できればバーエンドのコルクの色も変えられると嬉しいですね。(笑)
計良 : カラーサンプルやオーナー事例は実際の色と比較できるのでありがたい情報ですね。とても参考になりました。
自転車に限らず、モノやサービスには色々なカラーがありますが、お二人はどの様な基準や視点で選ばれているのでしょうか?
黒野 : 色はものすごくシビアに選びますね。同じ色でも素材が違う場合の色の差や、印刷の出来栄えなどブランドイメージに統一感を持たすために細かく見ています。
計良 : 僕も色には強いこだわりがありますね。自転車の方がモノとして大きいですが、洋服も素材や素材の凹凸、染色方法によって色味が大きく異なるので、色は細かいところまできっちり見ます。
黒野 : プロダクトでもグラフィックでも色は少し異なるだけで全く雰囲気が変わってくるので色を決めるのは正直怖い部分がありますね。
計良 : 確かに。僕は色を決めるときは午前中と決めています。疲れている時に色を決めるとイメージと異なったものになって期待する色味を出せなかったりするので。
黒野 : Cocci PedaleもWebだけでは伝わりづらい部分もあるので、実物を見てみると良いですよね。実物を見ると自転車の色味だけでなくテクスチャを楽しめると思います。
計良 : 本当にそうですね。機会がある方は是非一度見てみると良いと思います。
Cocci Pedaleではカラーリングに悩まれる方が非常に多いのですが、そんな方にアドバイスをお願いできませんでしょうか。
黒野 : 映画ポスターやおしゃれだと思うもののカラーを参考にしてみると良いと思います。どうやったらおしゃれに見えるのかが感覚として分かってくると思います。
計良 : あとは自分のクローゼットの中や靴を見回して、自分のライフスタイルを客観視してみると自分に馴染んでいる色が見えてくるかも知れませんね。自分の生活に溶け込んでいる色を探してデザインすると自転車も自分の生活に馴染んで行くように思います。
黒野 : そうですね。ライフスタイルにもその時々で自分の中の流行りがあると思うのでそれに合わせてみると自分に合うスタイルが見えてくるかも知れません。何にせよ、中途半端にならないように心掛けるのをお勧めします。2,3色にまとめるか逆に多くの色を取り入れて派手にするかのどちらかが良いと思いますね。中途半端は逆にカッコ悪くなってしまうように思います。
最後に今後Cocci Pedaleに期待することなどはありますか?
計良 : 今後自転車自体のバリエーションが増えてくるともっと街乗りスタイルに幅が出て良いと思います。タイヤが太くてサスが付いているようなマウンテンバイク調な街乗り自転車など面白いですね。
黒野 : 私は新色追加を是非お願いしたいですね!もう少し濃いグレイがあれば良いと思います。あとはリム幅なども変えられるとカスタム幅が広がって面白いと思いました。
お忙しい中、本日はありがとうございました。
Yosuke Kera
新潟県生まれ。文化服装学院通信教育でファッションデザイン画を習得。2002年、フランス・エスモードパリ校に入学。エスモードパリメンズ科卒業後、元DIOR HOMMEのデザイナー、ニコラ・アンドレア・タラリスに師事。2006年、日本へ帰国。企業でメンズのデザイナーを9年勤め、2014年に東京都が主催する「TOKYO STARTUP GATEWAY」のセミファイナリストに選出される。2015年、 「日本が誇る最高級のテキスタイルを世界へ。」をコンセプトに自身のメンズファッションブランド、 TH_READ創設。
Shingo Kurono
1985年生まれ。2006年フランスへ渡りデザインを学ぶ。帰国後国内のデザイン事務所で経験を積み、2015年独立、デザインプロジェクト humar.(ユーモア) に参加。プロダクト、グラフィック、WEBデザインなどジャンルレスにデザイン活動をしている。作る側とそれを使う側の新しいコミュニケーションを模索する THE HOTEL LINKSや、お茶ブランド TheThéを運営。
Shingo Kurono Site: http://www.shingokurono.com